犬も高齢になると、介護が必要になることがあります。心の準備と同じくらい大切なのが、お金の準備です。この記事では、実際に何にどれくらいかかるのか、どう備えておけばよいのかを整理します。
介護そのものについては「老犬介護と終活の準備」でも書いていますので、あわせてご覧ください。
年齢が上がると、医療費は確実に増えます
アニコム損保『家庭どうぶつ白書2023』によると、15歳の犬の年間診療費は平均239,810円。1歳のとき(50,956円)の約4.7倍にあたります。
つまり、シニア期に入ると医療費は数倍に膨らむということです。
※この数字は2021年度のデータで、同社のペット保険契約に基づく集計です。保険に加入している方のデータであるため、すべての飼い主の平均というわけではありませんが、年齢とともに費用が大きく増える傾向を知る目安になります。
そして忘れてはいけないのが、動物医療には公的な保険制度がないという点です。人の医療のような3割負担はなく、かかった費用は全額自己負担になります。病院によって料金も異なります。
何にお金がかかるのか
医療にかかるもの
- 通院費(頻度が増えます)
- 検査費(血液検査、レントゲン、エコーなど)
- 投薬(心臓病や腎臓病などは生涯続くことがあります)
- 手術・入院
慢性疾患を抱えると、毎月決まった額が出ていく状態になります。
介護用品にかかるもの
- オムツ・ペットシーツ(消耗品なので毎月かかります)
- 介護用ベッド(床ずれ防止)
- 歩行補助ハーネス
- スロープ・ステップ
- 流動食・介護食
- 給餌用シリンジ
人に頼むときにかかるもの
自分だけで介護しきれない場合、次の選択肢があります。
- ペットシッター(自宅での世話)
- 一時預かり・デイサービス
- 老犬ホーム(長期的に預ける施設)
いずれも費用が発生します。老犬ホームは施設や条件によって料金の幅が大きいため、気になる施設があれば早めに問い合わせておくことをおすすめします。
ペット保険は「入れるうちに」検討する
ここは大切なポイントです。
ペット保険は、高齢になってからでは新規加入できないことが多いです。多くの保険会社が加入時の年齢に上限を設けており、また既往症は補償対象外となるのが一般的です。
「介護が必要になってから入ろう」では間に合いません。
保険に入る・入らないはご家庭の判断ですが、判断できるのは元気なうちだけということは知っておいてください。加入条件は保険会社によって異なりますので、検討される場合は各社の条件をご確認ください。
参考までに、我が家の場合
私は16歳と1歳半のわんちゃんと暮らしていますが、それぞれ次の保険に加入しています。
- 16歳のわんちゃん……通院50%・手術90%の補償
- 1歳半のわんちゃん……通院90%・手術90%の補償
下のわんちゃんを通院90%にしたのには、理由があります。上のわんちゃんの医療費が、14歳を超えたあたりからかなりかかるようになったからです。
実際に負担を経験して、「通院がこれだけ続くのなら、補償は手厚いほうがいい」と実感しました。その経験があったので、下の子は迷わず通院90%を選びました。
同じ「保険に入っている」でも、補償の割合には差があります。通院が50%と90%では、負担感がまったく違います。
加入するときは「入っているかどうか」だけでなく「どこまで補償されるか」まで確認しておくことをおすすめします。歳を重ねてから見直そうとしても、選べる選択肢は限られてしまいます。
保険に入らない場合の備え方
保険料を払うより、自分で積み立てるという考え方もあります。
- 毎月一定額を「この子のための口座」に分けておく
- ボーナス時にまとめて入れる
金額の正解はありませんが、シニア期には年間20万円以上かかりうるという数字を目安に考えると、備えの規模が見えてきます。
大切なのは、いざというときに「お金がないから治療を諦める」という選択をしなくて済む状態をつくっておくことです。
家族と共有しておく
意外と見落とされがちなのが、家族との情報共有です。
- どこの病院にかかっているか
- どんな薬を飲んでいるか
- 毎月いくらかかっているか
- 保険に入っているか(入っているなら証券はどこか)
飼い主本人が倒れたとき、これらがわからないと家族が困ります。ペットファイルにまとめておくと確実です。
飼い主にもしものことがあったら
介護中に飼い主自身が入院したり、亡くなったりすることもあります。
そのとき、世話を引き継ぐ人には費用の負担がかかります。「面倒を見てね」と口約束するだけでは、相手に金銭的な負担を押し付けることになりかねません。
- 飼育委託契約で、世話とあわせて費用の受け渡しも決めておく
- ペット信託で、世話のための財産を分けておく
- 負担付き遺贈・死因贈与という方法もあります
いずれも、「気持ち」だけでなく「お金」まで含めて託すという考え方です。
まとめ
犬の介護費用は、シニア期に入ると大きく増えます。動物医療は全額自己負担で、公的な支援もありません。
だからこそ、元気なうちに①保険を検討する ②積み立てを始める ③家族と情報を共有する、の3つを進めておきましょう。
備えがあれば、いざというときに治療の選択肢を狭めずに済みます。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な情報提供です。診療費は動物病院により、保険の加入条件は保険会社により異なります。個別のご事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳しくはご相談ください。
Shoko行政書士事務所では、ペットのための終活に関するご相談をお受けしています。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
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