建設業許可の業種追加
「変更届」ではなく「申請」です

「電気工事の許可は持っているけれど、管工事も受注したい」

このとき必要になるのが業種追加です。

ここで気をつけていただきたいのは、業種追加は「届出」ではなく「許可申請」だということです。前回の記事で書いた変更届とは、まったく別の手続きになります。

まず、建設業許可は29業種に分かれています

建設業法第3条第2項は、こう定めています。

「前項の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。」

兵庫県の手引きでは、次のように整理されています。

区分 業種
一式業種(2業種) 土木工事業、建築工事業
専門業種(27業種) 大工、左官、とび・土工、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロツク、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゆんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

そして、手引きにはこう注記があります。

「『土木工事業』又は『建築工事業』の許可を受けた者が、他の専門工事を単独で請け負う場合は、当該専門工事の許可が必要となります。」

一式工事の許可があれば何でもできる、ということではありません。ここは誤解が多いところです。一式工事と専門工事の違いはこちらの記事で解説しています。

業種追加は「申請」です

前回の変更届の記事では、届出の期限が2週間・30日に分かれるという話を書きました。

業種追加は、そこには入りません。

性質 期限
変更届 届出 2週間以内/30日以内
決算変更届 届出 毎事業年度経過後4か月以内
業種追加 許可申請 期限はありません(受注前に取る)

届出には「いつまでに」という期限がありますが、業種追加に期限はありません。そのかわり、許可が下りるまでその業種の工事を請け負えません。

ただし、建設業法第3条第1項ただし書により、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」は許可を要しないとされています。軽微な工事の範囲はこちらの記事をご覧ください。

「受注が決まってから」では間に合いません。取りたい業種が見えた時点で動く必要があります。

手数料は5万円です

兵庫県の手引き13ページ「許可の申請区分及び手数料」から抜き出します。

区分 内容 手数料
新規 新たに許可を受ける場合 般のみ・特のみ 9万円
般+特 18万円
業種追加 一般の許可を受けている者が他の業種の一般の許可を追加する場合/特定の許可を受けている者が他の業種の特定の許可を追加する場合 般のみ・特のみ 5万円
般+特 10万円
更新 既に受けている許可を、そのままの要件で続ける場合 般のみ・特のみ 5万円
般+特 10万円

知事許可の場合、手数料は兵庫県収入証紙を申請書(別紙三)に貼り付けて納めます。提出部数は正本・副本の各1部です。

「般・特新規」との違い

似た名前の区分に般・特新規があります。これは業種追加とは別物です。

内容
業種追加 同じ区分のまま、別の業種を足す(一般の電気工事 → 一般の管工事を追加)
般・特新規 同じ業種で、一般⇄特定を新たに取る(一般の電気工事 → 特定の電気工事)

般・特新規は9万円です。混同しないようご注意ください。

なお、一般建設業の許可を受けた者が同じ建設業について特定建設業の許可を受けたときは、その建設業に係る一般建設業の許可は効力を失います(建設業法第3条第6項)。

更新と同時に申請できます

ここが実務上いちばん大きなポイントです。

業種追加と更新を同時に申請する場合、手数料はこうなります。

組み合わせ 手数料
般の追加+般(又は特)の更新 10万円
特の追加+般(又は特)の更新 10万円
般の追加+般の更新+特の更新 15万円
般の追加+特の追加+般(又は特)の更新 15万円
般の追加+特の追加+般の更新+特の更新 20万円

業種追加5万円+更新5万円=10万円ですから、同時に出しても金額は変わりません。それでも同時申請をおすすめする理由は、手数料ではなく有効期間にあります。

許可日がずれると、更新が毎年きます

建設業法第3条第3項は、こう定めています。

「第一項の許可は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。」

兵庫県の手引きでは、これを次のように説明しています。

「許可の有効期間は、許可日から5年目を経過する日の前日をもって満了となり、更新を受けなければ、許可の効力を失います。」

業種追加をすると、追加した業種の許可日は、もとの業種と別の日になります。放っておくと、更新の時期が2つ、3つと増えていきます。

そこで、手引き3ページにこう書かれています。

許可の有効期間の調整
同一業者で許可日の異なる2つ以上の許可を受けているものについては、先に有効期間の満了を迎える許可の更新申請する際に、有効期間が残っている他の全ての許可についても、同時に1件の許可の更新として申請することができます。

これが「一本化」と呼ばれるものです。

残っている期間を切り捨てることにはなりますが、そのぶん更新の管理が1回で済みます。業種が増えるほど効いてきます。

なお、更新の申請期限は、有効期間が満了する日の30日前までです(施行規則第5条)。更新申請の後に有効期間が満了した場合でも、その申請に対する処分がされるまでの間は従前の許可が有効です(建設業法第3条第4項)。

業種追加で問われる要件

新規のときに満たした要件を、もう一度全部そろえ直すわけではありません。ただし、業種ごとに見られるものがあります。

① 営業所技術者等(旧・専任技術者)

ここが実質的なハードルです。

建設業法第7条第2号は、「その営業所ごとに、営業所技術者……を専任の者として置く者であること」と定めており、その要件は「許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し」と規定されています。つまり業種ごとです。

配置できる人がいなければ、業種追加はできません。まず人を確認してください。

なお、令和6年の法改正で「専任技術者」は「営業所技術者」に名称が変わっています。

② 経営業務の管理責任者

こちらは業種ごとではありません。兵庫県の手引きにこう書かれています。

「建設業に関する経営経験(建設業の業種ごとの区別をせず、全て建設業に関するものとして取り扱います。)」

すでに許可を受けているのであれば、あらためて経験年数を積み直す必要はありません。

③ 財産的基礎

一般建設業の場合、次のいずれかに該当することが必要です(建設業法第7条第4号、手引き8ページ)。

  • 自己資本の額が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金を調達する能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

3つ目にご注目ください。すでに5年以上継続して許可を受けて営業していれば、この要件を満たします。業種追加のときは、ここで確認できるケースがあります。

④ 社会保険の加入

適切な社会保険に加入していることも要件です。こちらの記事で解説しています。

提出書類で見落としやすいもの

手引き15ページ、工事経歴書(様式第2号)の注意書きです。

「許可を申請しようとする建設工事の種類ごとに、前事業年度に完成した建設工事について作成すること。(略)業種追加申請の場合は、既許可分も全て作成すること。

追加する業種の分だけではありません。すでに持っている業種の工事経歴書も、あわせて作成します。ここは見落としやすいところです。

工事実績がない業種は「受注実績なし」と記載します。

手続きの流れ

  • ① 追加したい業種を決める
  • その業種の営業所技術者等になれる人がいるか確認する
  • ③ 財産的基礎の要件をどれで満たすか確認する
  • ④ 更新時期を確認する(同時申請・一本化ができないか)
  • ⑤ 申請書類を作成する(既許可分の工事経歴書も
  • ⑥ 収入証紙を貼って提出(正本・副本の各1部)
  • ⑦ 許可 → 許可後に、その業種の工事を請け負う

業際について

担当
建設業許可の業種追加・更新・変更届 行政書士
決算書そのものの作成・税務判断 税理士
商号変更・役員変更などの登記 司法書士
社会保険・雇用保険の手続き 社会保険労務士

まとめ

  • 建設業許可は29業種ごと(法第3条第2項)。一式工事の許可があっても、専門工事を単独で請け負うにはその業種の許可が必要
  • 業種追加は届出ではなく許可申請。期限はないが、許可が下りるまで請け負えない
  • 手数料は5万円(般のみ・特のみ)
  • 更新と同時に申請すると10万円。業種追加5万円+更新5万円と同額
  • 許可日がずれると更新が増える。一本化で1回にまとめられる
  • 実質的なハードルは営業所技術者等。業種ごとに必要
  • 経営業務の管理責任者は業種ごとの区別なし
  • 財産的基礎は、5年間継続して許可を受けて営業した実績でも満たせる
  • 工事経歴書は、既許可分も全て作成

出典

e-Gov法令検索「建設業法」(第3条、第7条、第15条)
兵庫県「建設業許可申請等の手引(令和8年3月)」2〜3ページ、8ページ、11ページ、13ページ、15ページ

※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。手数料・提出書類は許可行政庁によって異なります。実際のお手続きにあたっては、許可行政庁の最新の手引きをご確認ください。

Shoko行政書士事務所では、建設業許可の業種追加・更新・変更届のご相談をお受けしています。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

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