登録支援機関と行政書士の役割分担
特定技能の申請書類は誰が作るのか

特定技能の外国人を受け入れるとき、多くの企業が登録支援機関に支援を委託しています。そのとき、「在留資格の申請書類も、登録支援機関にまとめてお願いできるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

登録支援機関としての登録と、有償で申請書類を作成する資格は、別のものです。2026年1月1日に施行された行政書士法の改正で、この線引きは条文の上でも明確になりました。

この記事では、受入れ企業・登録支援機関・行政書士、それぞれの役割を整理します。

登録支援機関とは

特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、「1号特定技能外国人支援計画」にもとづいて、外国人への支援を行わなければなりません(出入国管理及び難民認定法第19条の22第1項)。

この支援は、契約によって、全部または一部をほかの者に委託することができます(同条第2項)。現在は、支援計画の全部の実施を委託されて行う者が、出入国在留管理庁長官の登録を受けたものが登録支援機関です(同法第19条の23第1項)。登録は5年ごとの更新です(同条第2項)。

つまり登録支援機関は、支援を行う機関です。

申請書類の作成を有償で依頼するときの注意点

在留資格の申請書類は、申請する外国人本人や受入れ企業が自ら作成することもできます。

一方、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として官公署に提出する書類を作成することは、行政書士の業務です(行政書士法第1条の3)。行政書士でない者は、これを行うことができません(同法第19条第1項)。弁護士など、ほかの法律にもとづいて行える場合を除き、登録支援機関として登録されているだけでは、有償で申請書類の作成を請け負うことはできません。

受入れ企業が自ら作成する書類について、登録支援機関が確認・助言を行うことと、登録支援機関が有償で作成を請け負うことは区別されます。実際に誰が、どのような作業を行っているかが重要です。

2026年1月1日の改正で明確になったこと

2026年1月1日施行の改正では、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と、報酬の名目を問わないことが条文上明記されました。これは従来からの業務制限を明確にするものです。「支援委託費」「コンサルティング料」などの名目でも、実質的に書類作成の報酬を受けている場合には、業務制限の対象になります。

違反した場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同法第21条の2)。

「取次ぎ」と「作成」は別のこと

在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請などは、原則として外国人本人が出頭して行います。ただし、所定の手続を経た申請取次者が書類を提出する場合などには、本人の出頭が免除されます。

支援計画の全部の実施を委託された登録支援機関の職員も、地方出入国在留管理局長に適当と認められるなどの要件を満たせば、対象となる外国人の申請を取り次ぐことができます(出入国管理及び難民認定法施行規則)。

つまり、

  • 取次ぎ(提出):要件を満たす登録支援機関の職員もできる
  • 報酬を得ての書類の作成:行政書士・弁護士など、法律で認められた者の業務

という整理になります。提出ができることと、報酬を得て書類を作成できることは、別の話です。

3者の役割分担

立場 主な役割
受入れ企業 雇用契約、支援計画の作成と実施(委託も可)、受入れ後の届出。申請書類を自ら作成することも可
登録支援機関 委託を受けた支援計画の実施、支援の実施状況の届出(入管法第19条の30)。要件を満たせば申請の取次ぎ
申請取次行政書士 依頼を受けての申請書類の作成、申請の取次ぎ、審査中の追加資料への対応

これからの制度の変更(令和9年4月1日)

登録支援機関の支援体制の要件

出入国在留管理庁は、1号特定技能外国人への支援体制の要件を改正し、令和9年4月1日から施行すると公表しています。主な内容は次のとおりです。

  • 支援責任者と支援担当者を、支援を行う事務所ごとに、常勤の役員または職員からそれぞれ1名以上選任する(支援責任者が支援担当者を兼ねることも可能)
  • 支援業務に従事できる者を、支援責任者と支援担当者に限る
  • 支援責任者に、養成講習の修了を求める(当分の間は、経過措置により修了していなくても差し支えないとされています)
  • 支援担当者の数を、委託を受けている企業の数と、支援している外国人の数に応じて確保する

登録や更新の時期によっては、改正前の要件で判断される経過措置もあります。

「一部」の委託も、委託先は登録支援機関に

令和6年の法改正(育成就労制度を設ける法律。一部の規定を除き令和9年4月1日施行)で、登録支援機関の登録の対象が、支援計画の「全部」から「全部又は一部」の実施に広がります。

あわせて、令和9年4月1日から、支援の全部だけでなく、一部を外部に委託する場合も、委託先は登録支援機関に限られます。ただし、施行の時点で登録支援機関以外へ一部を委託している場合には、経過措置があります(その外国人が施行後に最初の在留期間更新の許可を受けるまでは、新しい規定は適用されません。同法附則第6条)。

制度が変わる中でも、「支援は登録支援機関、有償の書類作成は行政書士」という線引きは変わりません。

当事務所の対応

当事務所は申請取次行政書士として、特定技能の在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の書類作成と取次ぎをお引き受けしています。登録支援機関の方からのご相談も承ります。

まとめ

  • 登録支援機関としての登録と、有償で申請書類を作成する資格は別
  • 申請書類は、本人や受入れ企業が自ら作成することもできる
  • 他人の依頼を受けて報酬を得て作成するのは、行政書士・弁護士など法律で認められた者の業務(行政書士法第1条の3・第19条)
  • 2026年1月1日から「いかなる名目によるかを問わず」と条文に明記。従来の制限の明確化。違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 申請の取次ぎ(提出)は、要件を満たす登録支援機関の職員もできる。作成とは別
  • 令和9年4月1日から、支援体制の要件が改正。支援の一部を委託する場合も、委託先は登録支援機関に(経過措置あり)

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出典

e-Gov法令検索「行政書士法」(第1条の3、第19条、第21条の2、附則)
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の22、第19条の23、第19条の30)
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」
出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」(令和6年法律第60号、附則第6条)
日本行政書士会連合会「登録支援機関の職員が行う申請取次ぎに関する声明」(2019年3月29日)

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。特定技能制度は改正が続いています。実際のお手続きにあたっては、出入国在留管理庁の最新の情報をご確認いただくか、ご相談ください。

Shoko行政書士事務所は申請取次行政書士として、特定技能の在留資格の申請書類の作成と取次ぎのご相談をお受けしています。登録支援機関の方からのご相談も承ります。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心に、オンライン・訪問にて対応させていただきます。業務の内容と料金は在留資格のページをご覧ください。

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