猫カフェを開くには、動物取扱業の登録と飲食店営業許可の2つが要ります。
でも、お客様が自分の犬を連れてくるドッグカフェなら、動物取扱業の登録は原則いりません。
同じ「動物のいるカフェ」でも、手続きが違います。まず、ご自身のお店がどれに当たるかをご確認ください。
あなたのお店はどれですか
| お店の形 | 動物取扱業の登録 | 飲食店営業許可 |
|---|---|---|
| お店の猫とふれあう(猫カフェ) | 必要(展示) | 必要 |
| お客様が自分の犬を連れてくる(ドッグカフェ) | 原則いりません | 必要 |
| 犬を預かる(ドッグラン併設など) | 必要(保管) | 必要 |
分かれ目は、お店が動物を業として扱っているかどうかです。
環境省は、第一種動物取扱業についてこう説明しています。
「業として、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合は、営業を始めるに当たって登録をしなくてはなりません。」
お客様がご自分の犬を連れてくるだけなら、お店は動物を扱っていません。だから登録の対象になりません。
ただし、その判断は最終的に許可行政庁が行います。業態が中間的な場合は、必ず事前にご相談ください。
① 登録が必要な場合(猫カフェ・預かり)
業種は「展示」です
動物愛護管理法第10条第1項に、こう書かれています。
「動物の販売(略)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。)その他政令で定める取扱いを業として行うこと」
「動物との触れ合いの機会の提供を含む」と明記されています。
犬を預かる場合は「保管」が加わります。業種が増えると、手数料も増えます。
登録の基本
| 内容 | |
|---|---|
| 登録の単位 | 事業所ごと・業種ごと |
| 手数料 | 事業所ごと、業種ごとに15,000円 |
| 有効期間 | 5年(動物愛護管理法第13条第1項) |
| 動物取扱責任者 | 事業所ごとに1名以上、常勤かつ専属(同法第22条第1項) |
兵庫県は、手数料についてこう例示しています。
「ペットショップ(販売)とペットホテル(保管)を1つの事業所で行っている場合は、販売と保管の2つの登録申請が必要となり、登録申請手数料は合計で30,000円となります。」
業種を1つ増やすごとに15,000円です。納付は兵庫県収入証紙で行います。
動物取扱責任者の要件は、資格と実務経験の組み合わせです。令和2年の改正で、資格を持っているだけでは足りなくなりました。要件を満たすかどうかの判断は、許可行政庁が行います。
【重要】営業時間に決まりがあります
飲食店と違うのは、ここです。
令和3年環境省令第7号(基準省令)第2条第5号イ(1)です。
「販売業者、貸出業者及び展示業者にあっては、犬又は猫の展示を行う場合には、午前八時から午後八時までの間において行うこと。ただし、特定成猫の展示を行う場合にあっては、午前八時から午後十時までの間において行うことを妨げない。この場合において、一日の特定成猫の展示時間(略)は、十二時間を超えてはならない。」
| 展示できる時間 | |
|---|---|
| 犬 | 午前8時〜午後8時 |
| 猫(原則) | 午前8時〜午後8時 |
| 特定成猫 | 午前8時〜午後10時(1日12時間以内) |
猫カフェも、原則として午後8時までです。夜の営業には制限があります。
「特定成猫」とは
施行規則に定義があります。
「特定成猫(次のいずれにも該当する猫をいう。)
イ 生後一年以上であること。
ロ 午後八時から午後十時までの間に展示される場合には、休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されていること。」
1歳以上で、なおかつ猫が自分でいつでも休憩場所へ行ける状態。この2つを満たして初めて、午後10時まで展示できます。ケージに入れたままでは要件を満たしません。
夜間はお客様と接触させられません
「販売業者、貸出業者及び展示業者にあっては、夜間に犬又は猫を顧客と接触させ(略)ないようにすること」
夜間とは午後8時から翌日午前8時までです。
6時間ごとに休ませる決まりも
「長時間連続して犬又は猫の展示を行う場合にあっては、当該犬又は猫が休息できる設備に自由に移動できる状態を確保するものとし、その状態を確保することが困難な場合は、展示を行う時間が六時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設けること」
猫が自由に行ける休憩スペースを設計に入れておけば、この制限にかかりません。お店のつくりそのものに関わる話です。
営業時間は申請書に書きます
施行規則には、登録申請の記載事項としてこうあります。
「七 営業時間(特定成猫の展示を行う場合にあっては、営業時間及び(略)特定成猫の展示時間)」
あとから自由に延ばせるものではありません。
② 登録が要らない場合(愛犬同伴のドッグカフェ)
お客様が自分の犬を連れてくるだけなら、動物取扱業の登録は原則いりません。
ただし、飲食店営業許可は必要です。ここは変わりません。
そして、次のことを始めた瞬間に、登録が必要になります。
- お店で犬を預かる(買い物中だけ、食事中だけ、でも「保管」です)
- しつけ教室を併設する(「訓練」)
- 犬の販売をする
「サービスのつもりで少しだけ預かる」——これがいちばん多い落とし穴です。無償であっても、お店の営業の一部として反復・継続していれば、業として扱われる可能性があります。
迷ったら、始める前にご相談ください。
③ 飲食店営業許可は、どちらも必要です
食品衛生法にもとづく許可で、窓口は保健所です。
- 食品衛生責任者を置く
- 施設が基準に合っているかの検査がある
- ドリンクだけでも必要
流れはこちらの記事、検査で指摘されやすい点はこちらの記事で解説しています。
動物と食べ物をどう分けるか
動物のいる空間と、調理場・飲食スペースの区分をどうするか。ここは保健所の判断です。
自治体によって考え方が異なります。図面を引く前に、必ず管轄の保健所へご相談ください。相談の順番ひとつで、内装費がまったく変わります。
【見落としがち】建築基準法・都市計画法の確認
物件を決める前に、もうひとつ確認することがあります。
兵庫県は、こう案内しています。
「第一種動物取扱業登録申請の前に、建築基準法、都市計画法等について、市町の所管部局へ確認してください」
用途地域によっては、その場所で営業できないことがあります。動物愛護センターと保健所だけでなく、市町の建築・都市計画の窓口にも先に確認してください。
契約してからでは動かせません。ここが、いちばん取り返しのつかないところです。
申請先(宝塚市・京都市の場合)
動物取扱業の登録は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(指定都市はその長)に申請します。
| 事業所の所在地 | 動物取扱業の申請先 |
|---|---|
| 宝塚市 (神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市を除く兵庫県内) |
兵庫県動物愛護センター及び各支所 |
| 京都市 | 京都市 |
飲食店営業許可は、それぞれ管轄の保健所が窓口になります。
順番をまちがえないために
- ① 物件を決める前に、動物愛護センター・保健所・市町の建築窓口に相談する
- ② 提供するサービスを固めて、登録が必要かどうか・必要な業種を確定させる
- ③ 動物取扱責任者になれる方を確保する(登録が必要な場合)
- ④ 内装の発注前に、ケージの基準と保健所の施設基準を確認する
- ⑤ 動物取扱業の登録を申請する
- ⑥ 飲食店営業許可を申請する
- ⑦ 検査・立入確認に対応する
- ⑧ 開業
物件と内装が、いちばん戻れないところです。
よくある質問
Q. 自分の犬を連れて来られるカフェを開きます。動物取扱業の登録は必要ですか?
A. お客様がご自身の犬を連れてくるだけであれば、お店は動物を業として扱っていませんので、原則として登録は不要です。ただし、犬をお預かりする場合は「保管」に当たり、登録が必要になります。判断は最終的に許可行政庁が行いますので、事前にご相談ください。
Q. 猫カフェは何時まで営業できますか?
A. 猫の展示は原則として午前8時から午後8時までです。「特定成猫」(生後1年以上で、午後8時から10時の間は休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されている猫)に限り、午後10時まで展示できます。ただし1日の展示時間は12時間を超えられません。
Q. お客様の犬を少しだけ預かるのは問題ありませんか?
A. 預かる行為は「保管」に当たります。無償であっても、お店の営業の一部として反復・継続していれば業として扱われる可能性があります。始める前にご確認ください。
Q. 飲食店営業許可だけでは開業できませんか?
A. お店が動物を扱う場合は、動物取扱業の登録もあわせて必要です。逆に、愛犬同伴のカフェであれば飲食店営業許可だけで足りる場合があります。
Q. 手数料はいくらかかりますか?
A. 兵庫県の場合、事業所ごと、業種ごとに15,000円です。1つの事業所で2業種を行うなら合計30,000円になります。納付は兵庫県収入証紙です。
Q. 登録に期限はありますか?
A. 5年です。更新を受けなければ効力を失います(動物愛護管理法第13条第1項)。
まとめ
- 猫カフェは動物取扱業の登録(展示)と飲食店営業許可の両方が必要
- 愛犬同伴のドッグカフェは、原則として飲食店営業許可のみ
- ただし預かる・訓練する・販売するなら登録が必要
- 登録は事業所ごと、業種ごとに15,000円、5年ごとの更新
- 犬の展示は午後8時まで。猫も原則8時まで、特定成猫のみ午後10時まで(1日12時間以内)
- 営業時間は登録申請書に書く事項
- 動物と飲食の区分は保健所の判断。図面を引く前に相談を
- 建築基準法・都市計画法も、物件を決める前に市町の窓口で確認を
動物取扱業の登録については、こちらのページでもご案内しています。
出典
e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」(第10条、第13条、第22条)
e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則」
e-Gov法令検索「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(令和3年環境省令第7号)
環境省「第一種動物取扱業者の規制」
兵庫県「第一種動物取扱業を営まれる方へ」
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。法令・基準・手数料は改正される場合があり、また運用は自治体によって異なる場合があります。実際のお手続きにあたっては、管轄の窓口の最新の情報をご確認ください。
Shoko行政書士事務所では、動物取扱業の登録に関するご相談をお受けしています。物件を決める前、内装を発注する前の段階からご相談いただけます。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
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