外国人を解雇・雇い止めしたら
在留資格はどうなるか

最初にお断りしておきます。

解雇が有効かどうか、雇い止めが認められるか、解雇予告はどうするか——こうした労働法の判断は、社会保険労務士や弁護士の業務です。この記事では触れません。

この記事で書くのは、解雇や雇い止めが起きたあと、在留資格がどうなるかです。ここは行政書士の領域です。

いちばん大事なこと:在留期間が残っていても、安心ではありません

「在留期間があと2年ある」

そう思って動かずにいると、在留資格が取り消されることがあります。

入管法第22条の4第1項第6号です。

「別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月(高度専門職の在留資格(略)をもつて在留する者にあつては、六月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)」

「技術・人文知識・国際業務」は働くための在留資格です。働いていない状態が3か月続けば、この号に当たり得ます。

ただし「正当な理由がある場合を除く」とされています。次の仕事を真剣に探している、といった事情は考慮されます。何もせずに3か月放置することが危険なのです。

取り消されるとどうなるか

同条第7項です。

「法務大臣は、第一項(第一号及び第二号を除く。)の規定により在留資格を取り消す場合には、三十日を超えない範囲内で当該外国人が出国するために必要な期間を指定するものとする。」

30日以内の出国準備期間が指定されます。取消しの前には意見の聴取の手続きがあり、本人やその代理人が期日に出頭して意見を述べ、証拠を提出することができます(同条第2項から第4項)。

本人がすること① 14日以内の届出

入管法第19条の16です。

「中長期在留者であつて、次の各号に掲げる在留資格をもつて本邦に在留する者は、(略)当該事由が生じた日から十四日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければならない。」

対象となる在留資格と事由は、大きく2つに分かれています。

在留資格 届け出る事由
第1号 教授、高度専門職(一部)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習留学、研修 機関の名称・所在地の変更、機関の消滅、当該機関からの離脱、移籍
第2号 高度専門職(一部)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(契約に基づく場合)、技能、特定技能 機関の名称・所在地の変更、機関の消滅、契約の終了、新たな契約の締結

解雇・雇い止めは、第2号の「契約の終了」に当たります。

届出をしなかった場合は20万円以下の罰金(第71条の5第3号)、虚偽の届出をした場合は1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金(第71条の2第1号)です。

なお、次の会社と契約を結んだときも、あらためて14日以内の届出が必要です。「終了」と「締結」は別々の事由です。

本人がすること② 次をどう選ぶか

3か月という時間の中で、選択肢は限られます。

選択肢 手続き
同じ在留資格の範囲内で転職する 在留資格変更の申請は不要な場合がありますが、就労資格証明書を取っておくと安心です
業務内容が変わる転職をする 在留資格変更許可申請が必要です
特定技能で転職する 必ず在留資格変更許可申請が必要。許可が出るまで働けません
帰国する

「同じ職種なら手続き不要」と思い込まないでください。特定技能は、同じ分野内の転職でも在留資格変更許可申請が要ります。しかも許可が出るまで新しい会社で働けません。

就労資格証明書について

入管法第19条の2第1項です。

「出入国在留管理庁長官は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。

これが就労資格証明書です。転職先での業務が在留資格の範囲内かどうかを、あらかじめ確認できます。次の更新のときに、いきなり問題が発覚するのを防げます。

ただし、同条第2項に企業向けの規定があります。

何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

「就労資格証明書がないから採用しない」は、法律上できません。あくまで任意の確認手段です。

企業がすること

① ハローワークへの届出

外国人が離職したときは、ハローワークへの届出が必要です。採用時だけではありません。

ただし、この届出の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。こちらの記事で解説しています。

② 特定技能所属機関の届出

特定技能外国人を受け入れていた場合は、入管への届出があります。入管法第19条の18第1項第1号です。

「特定技能雇用契約の変更(略)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき。」

届出をしなかった場合、または虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金(第71条の4第1号)です。

本人の届出とは別です。「本人が出すから会社はいらない」ではありません。

雇い止めも同じです

契約期間が満了して更新しなかった場合も、在留資格の側から見れば「契約の終了」です。

「解雇ではないから届出はいらない」ということはありません。3か月の起算も同じように進みます。

企業に知っておいていただきたいこと

外国人を解雇・雇い止めするということは、その方の在留資格そのものを揺るがすということです。日本人の従業員とは、影響の重さが違います。

やむを得ず契約を終了する場合でも、次のことをお伝えいただくだけで、その方の状況は変わります。

  • 14日以内に入管へ届出が必要であること
  • 在留期間が残っていても、3か月動かないと在留資格が取り消され得ること
  • 転職の内容によっては、在留資格変更許可申請が必要なこと

まとめ

  • 在留期間が残っていても、活動しない状態が3か月続くと在留資格の取消し事由(入管法第22条の4第1項第6号)。ただし正当な理由がある場合は除かれます
  • 本人は14日以内に「契約の終了」の届出(第19条の16)。怠ると20万円以下の罰金
  • 新しい契約を結んだときも、14日以内に届出
  • 特定技能は、同じ分野でも在留資格変更許可申請が必要で、許可まで働けません
  • 就労資格証明書で事前に確認できる。ただし提出しないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない(第19条の2第2項)
  • 企業は特定技能所属機関の届出(第19条の18)。怠ると30万円以下の罰金
  • 雇い止めも「契約の終了」です
  • 解雇の可否・手続きは社会保険労務士・弁護士の業務。ハローワークへの届出は社会保険労務士の業務

出典

e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の2、第19条の16、第19条の18、第22条の4、第71条の2、第71条の4、第71条の5)

※本記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な情報提供です。個別のご事情により取扱いが異なりますので、実際のお手続きにあたっては最新の情報をご確認いただくか、ご相談ください。

Shoko行政書士事務所では、在留資格に関するご相談をお受けしています。当事務所は地方出入国在留管理局長に届け出た申請取次行政書士です。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

無料相談を予約する