外国人エンジニアの
採用と在留資格

IT人材の不足が続くなか、外国人エンジニアの採用を検討する企業が増えています。この記事では、採用する企業側が知っておくべき手続きを整理します。

エンジニアの在留資格は「技術・人文知識・国際業務」

システムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニアなどは、「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)に該当します。

出入国在留管理庁は、この在留資格の活動をこう定めています。

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野……に属する技術若しくは知識を要する業務に従事する活動」

在留期間は5年、3年、1年または3か月です。

どんな職種が該当するかは「技術・人文知識・国際業務ビザで働ける職種とは?」で詳しく解説しています。

採用のパターンは2つ

① 海外にいる人を呼び寄せる

在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います。証明書が交付されたら本人に送り、現地の日本大使館・領事館で査証(ビザ)を取得して来日します。

入社までに数か月かかります。入社日から逆算して動く必要があります。

② 日本にいる人を採用する

すでに日本にいる方の場合、状況によって手続きが変わります。

相手の状況 必要な手続き
留学生を新卒採用 在留資格変更許可申請(留学→技人国)
他社の技人国から転職 業務内容が同じなら変更申請は不要だが、就労資格証明書の取得が安全
業務内容が大きく変わる 在留資格変更許可申請

なお転職の場合、本人には「契約機関に関する届出」が義務づけられています。入管法第19条の16により、14日以内に届け出る必要があります。転職・退職のどちらも対象です。

ITエンジニアには学歴要件の特例があります

ここがエンジニア採用の最大のポイントです。

技人国は通常、大学卒業などの学歴一定年数の実務経験が求められます。しかしIT技術者には特例があります。

出入国在留管理庁は次のように定めています。

「IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める『情報処理技術』に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書」

つまり、指定された情報処理関連の試験に合格していれば、学歴がなくても要件を満たせます。

日本の情報処理技術者試験のほか、一部の国の試験も対象になっています。対象となる試験は告示で定められていますので、該当しそうな資格をお持ちの方がいれば確認する価値があります。

「大学を出ていないから無理」と諦める前に、資格の有無を確認してください。

会社の「カテゴリー区分」で手続きの重さが変わる

申請の際、会社は規模や実績に応じてカテゴリー1〜4に区分されます。

上位のカテゴリーほど提出書類が少なく、手続きが軽くなります。上場企業などはカテゴリー1、設立間もない会社はカテゴリー4になります。

カテゴリー4の場合は、決算書類や事業内容の資料など、提出書類がかなり多くなります。初めて外国人を採用する会社は、書類の準備に想定より時間がかかると考えておいてください。

派遣・SESで働かせる場合は要注意

エンジニアの場合、派遣や客先常駐(SES)の形態が多いと思います。ここに新しい注意点があります。

出入国在留管理庁は、派遣形態で就労する場合の取扱いを公表しました。2026年3月9日申請分から、提出書類が変更されています。

押さえるべき点

① 申請時点で派遣先が確定していないと、許可を受けられません

「申請時点において派遣先が確定していない場合は、在留諸申請の許可等を受けることができませんので、必ず派遣先を確定させた上で申請してください」と明記されています。

② 在留期間は派遣契約の期間に応じて決まります

短い派遣契約だと、在留期間もそれに応じたものになります。

③ 派遣先にも直接確認が入ることがあります

「派遣会社(派遣元)のほか、派遣先に対しても申請人の業務内容や活動状況について直接確認を行う場合があります」とされています。

④ 誓約書が必要です

派遣元用・派遣先用の両方の誓約書に加え、労働条件通知書(雇用契約書)と労働者派遣個別契約書の写しが求められます。

例外もあります

新規採用者の研修が終わるまで派遣先が決まらない場合は、研修内容を示す資料などを提出することで、その事情を踏まえた審査を受けられます。

ただし原則として、「とりあえず採用して、派遣先は後から」という進め方はできません。採用計画の段階で押さえておいてください。

採用後に必要な届出

採用したら終わりではありません。

  • ハローワークへの外国人雇用状況の届出(事業主の義務)
  • 社会保険の加入(国籍を問わず義務)

それぞれ「ハローワークへの外国人雇用届出義務とは」「外国人社員の社会保険加入義務」で解説しています。

まとめ

外国人エンジニアの採用では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を使います。

  • ITには学歴要件の特例がある——資格保有者なら学歴不問で要件を満たせます
  • 会社のカテゴリー区分で必要書類が変わります
  • 派遣・SESは、申請時に派遣先が確定していることが必要です

採用が決まってから慌てないよう、手続きの見通しを早めに立てておくことをおすすめします。

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。法令や制度は改正される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては最新の情報をご確認ください。

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