医療法人には、登記と、その登記をしたことを都道府県へ届け出る手続きがあります。2つで1組です。
そして期限が2種類あることが、あまり知られていません。「2週間以内」のものと「3月以内」のものがあります。
この記事では、その違いと、届出までの流れを整理します。
まず、登記と届出は別の手続きです
| どこへ | 誰が | |
|---|---|---|
| 登記 | 法務局 | 司法書士の業務 |
| 登記事項届 | 都道府県知事 | 行政書士がお引き受けできます |
登記して終わりではありません。そのあとに届出があります。医療法施行令第5条の12は、こう定めています。
「医療法人が、組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号)の規定により登記したときは、登記事項及び登記の年月日を、遅滞なく、その主たる事務所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない」
医療法人の登記は、組合等登記令という政令によることとされています。
期限は2種類あります
ここが本題です。組合等登記令第3条を見ると、期限が分かれています。
原則は「2週間以内」
「組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない」(組合等登記令第3条第1項)
名称、事務所の所在場所、代表権を有する者などが変わったときは、2週間以内です。かなり短い期間です。
資産の総額だけ「3月以内」
「第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から三月以内にすれば足りる」(組合等登記令第3条第3項)
資産の総額は毎年必ず動きますので、これが毎年発生する登記です。ほかの登記事項と違い、決算に合わせて年1回まとめて行います。
| 変更するもの | 登記の期限 |
|---|---|
| 名称・事務所の所在場所・代表権を有する者 など | 2週間以内 |
| 資産の総額 | 毎事業年度末日から3月以内 |
この「3月以内」は、平成28年に変わりました
以前は2月以内でした。厚生労働省の事務連絡(平成28年11月17日)に、その経緯が書かれています。
「今般、組登令第3条第3項の規定が改正され、組合等の資産の総額に変更が生じたときには、毎事業年度末日から3月以内に変更の登記をしなければならないこととされ、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされたところである」
古い資料には「2月以内」と書かれているものがありますので、ご注意ください。
【要注意】決算届の期限は変わっていません
同じ事務連絡に、こう明記されています。
「なお、医療法第51条に規定する事業報告書等の作成の期限については、従前のとおりである。」
登記の期限が2月→3月に延びても、事業報告書等の作成期限は延びていません。混同しないようご注意ください。
| 期限 | 根拠 | |
|---|---|---|
| 事業報告書等の作成 | 毎会計年度終了後2月以内 | 医療法第51条 |
| 事業報告書等の届出(決算届) | 毎会計年度終了後3月以内 | 医療法第52条 |
| 資産の総額の変更登記 | 毎事業年度末日から3月以内 | 組合等登記令第3条第3項 |
| 登記事項届 | 登記後遅滞なく | 医療法施行令第5条の12 |
詳しくは「医療法人の行政手続きとは?毎年必要な届出を整理します」もあわせてご覧ください。
医療法人の登記事項
組合等登記令第2条第2項および別表により、次の事項を登記することとされています。
- 目的及び業務
- 名称
- 事務所の所在場所
- 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
- 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
- 資産の総額(別表)
- 電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定め(別表)
このうち毎年動くのは「資産の総額」だけです。ほかの項目は、変更があったときにだけ登記します。
なお、厚生省の通知(昭和39年5月11日)によると、組合等登記令によることとなった際に、次の点が変わっています。
「理事全員の氏名及び住所を登記する必要がなくなり、代表権を有する者(清算人を含む。)の氏名、住所及び資格を登記することとされたこと」
「公告の方法が登記事項からはずされたこと。なお、定款又は寄附行為の必要的記載事項であることには変わりないこと」
登記されるのは代表権を有する者——通常は理事長です。理事全員ではありません。
3月決算の場合の流れ
| 時期 | やること | 提出先 |
|---|---|---|
| 〜5月末 | 事業報告書等の作成 | — |
| 〜6月末 | 資産の総額の変更登記 | 法務局(司法書士) |
| 〜6月末 | 決算届・経営情報等報告 | 都道府県知事 |
| 登記完了後 | 登記事項届(遅滞なく) | 都道府県知事 |
6月末に集中します。しかも登記が終わらないと登記事項届が出せませんので、登記は早めに動かす必要があります。
役割分担を整理しておきましょう
- 決算書類の作成……税理士
- 法務局への登記申請……司法書士
- 都道府県への届出……行政書士
当事務所がお引き受けするのは、都道府県への届出です。登記が必要な場面では、司法書士へおつなぎするか、すでにお付き合いのある先生に依頼していただく形になります。
まとめ
- 登記事項の変更は原則2週間以内(組合等登記令第3条第1項)
- 資産の総額だけは毎事業年度末日から3月以内(同条第3項)
- この3月以内は平成28年4月1日以後に開始する事業年度から。以前は2月以内だった
- 事業報告書等の作成期限(2月以内)は変わっていない
- 登記をしたら、登記事項及び登記の年月日を遅滞なく都道府県知事へ届出(医療法施行令第5条の12)
- 登記されるのは代表権を有する者。理事全員ではない
- 登記事項のうち毎年動くのは「資産の総額」だけ
- 登記は司法書士、届出は行政書士
手続きの内容や料金は「医療法人の行政手続き」のページでご案内しています。
出典
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令による組合等登記令の一部改正について」(事務連絡 平成28年11月17日)
厚生労働省「医療法人の登記について」(昭和39年5月11日 総第26号)
e-Gov法令検索「組合等登記令」
厚生労働省「医療法施行令」
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。登記の手続き・添付書類については法務局の、届出の様式・提出部数については所管の都道府県の最新の案内をご確認ください。法務局への登記申請は司法書士の業務です。
Shoko行政書士事務所では、医療法人の行政手続きに関するご相談をお受けしています。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
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